なぜ聖路加に人が集まるのか 著:福井次矢

なぜ聖路加に人が集まるのか 著:福井次矢

なぜ聖路加に人が集まるのか

なぜ聖路加に人が集まるのか

<これからの医療 ①>
 肝臓だけ、腎臓だけを見れる専門医が増えている中で、「頭が痛い」とか
「おなかが痛い」といった悩みを身体的、社会的な面から見られるプロの医者
総合医」を求めている患者が増えている。
 そして、これからの医療は、この病気にはこの治療っていう画一的なものではなく
患者の「解釈モデル」を把握し、おのおのに相応しい医療を行うことが大事になる。
そのために、聖路加では総合医を育成するメディカルスクール構想があるということでした。


 最近の病棟実習でも、似たようなことを伺ったのでやっぱり
そうなんだなぁと思い、うなづきながら読んでいました。
 例えば、「夜のトイレが近い」と訴える夜間頻尿の患者さんが、
内科の開業医の先生から大きな病院の泌尿器科の先生に紹介されてくる。
しかし、夜間頻尿の原因は、高血圧や糖尿病という内科的疾患だったりする。
高齢化にともない病気が複雑化し、今までの科ごとの区切りでは
対応しづらい疾患を持つ患者さんが増えていっているんですね。
新たな枠組みで医療全体の構造を考える転換期が近づいている気がします。


<これからの医療②>
 また、ITの発達、EBMの確立に伴い医療情報の格差は失われつつある。
今後の医療では、情報面では医者・患者さんが同じ地平にたつことになる。
これからの医療は、患者と医師の両方が共に健康を求めて話し合う創造活動になる。


 いままでの「こうしなさい、あぁしなさい」と言っていたお父さん的立場であった医師が
これから、パートナーとしての位置から患者さんとつきあっていくということになると
より一層コミュニケーション能力の高い医師が求められていきそうですね。


聖路加の医療に対する姿勢、医療行為における営利活動の難しさを
聖路加のトップに立つひとの視点から描かれていて楽しかったです。
夏に聖路加の病院実習にいってみたいです。


総合医に関しては、同級生が書いた本が学生視点から書かれていて
面白いと思います。ぜひ買って読んでみてください。

「総合医」が日本の医療を救う

「総合医」が日本の医療を救う

総合医」が日本の医療を救う
著: 川崎健太, 玉井博也, 吉野雄大, 大西卓磨, 渡辺賢治